製造業の生産管理で品質管理が果たす役割とは?
課題と解決策も解説!
「品質管理」は、製造業における生産管理業務の一部であり、顧客満足度や企業競争力を向上させるために欠かせないものです。「生産管理」「製造管理」との違いや役割を明確に理解し、ポイントを意識して品質管理を行えば、製品の品質担保や安定供給を図ることができます。
そこで本コラムでは、品質管理の概要や具体的な業務内容、品質管理のポイント、品質管理における課題解決策までを解説します。
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生産管理における「品質管理」とは
最初に、生産管理における「品質管理」についてみていきます。
生産管理と品質管理の関係性
「生産管理」は製品の製造プロセス全体を管理する業務で、生産計画や資材調達、原価管理、在庫管理、
出荷調整といった生産に関するあらゆる管理業務が含まれます。
「品質管理」は、生産管理の一部で、顧客の要求を満たす製品を製造するために必要な業務です。
品質の維持向上だけでなく、納期遵守、トレーサビリティの確保といった業務も含まれます。
生産管理、製造管理、品質管理の違い
「生産管理」は、前述した通り、製品の製造に関わる管理業務全体を指します。
「製造管理」は、主に製造工程の管理と監督を指します。製造現場の工程管理や、設備管理、製造に必要な人員配置などが含まれます。
「品質管理」は、製品の品質を維持・向上させるための業務を指します。品質基準の設定、製造工程の最適化、品質基準に対する製造物の検査をはじめ、納期遵守のための仕組みづくりや不良品が生じた場合の対応なども含まれます。
次の章で詳しく解説します。
品質管理の3つの業務
品質管理で行う3つの業務について解説します。
①工程管理
工程管理は、製品の資材調達から製造工程までの管理を意味する言葉です。
一定の品質を保ちながら効率的に製造が進むように、必要な原材料や設備、労働力を管理する業務です。
計画通りに進行するために工程ごとの作業内容や進捗状況を確認する必要があります。
仮に、問題が発生した場合には迅速に対応しなければなりません。
②品質検証
品質検証は、製品の原材料や部品、生産工程などを管理・チェックする業務です。
主に「製品品質の検査」と「工程や管理の評価」の2つの役割があります。製品品質の検査は、製品が仕様通りに製造されているかを確認するための検査です。
対して、工程や管理状態の評価は、製造工程が安定して一定品質の製造物を保てるかどうかを評価します。
③品質改善
品質改善は、不適合な製品が出た場合に原因を突き止め、再発防止策や未然防止を行う業務です。
不適合品の発生原因を分析し、製造プロセスのどの段階で問題が生じたのかを特定する、いわゆる「トレーサビリティの確保」が重要です。
そのうえで、対策を講じることで、同様の問題が再発しないようにします。
また、継続的な改善活動を通じて、品質の向上を図ります。
製造業における品質管理のポイント
品質管理についての概要は前述した通りですが、特に製造業における品質管理は、「必要なものを、必要な数量だけ、必要な納期までに確実に製造」するための仕組みづくりと環境づくりと言い換えることができます。
ここでは、製造業における品質管理の3つの重要なポイントについてみていきましょう。
①注文通りの生産・製造を行う
まずは、顧客の発注内容通りの製品を、必要な数量、必要なスペックで生産・製造し、品番違い、数量違いを生じさせない仕組みづくりが求められます。
誤った製品や数量の出荷を防ぐために、製造業では「三点照合(製品と現品票、納品書の3点が一致しているか確認)」もよく取られている対策です。
次に、生産計画を立て、各工程での作業が計画通りにできるかを検討しましょう。
生産設備や機械の定期的なメンテナンスを行い、安定した生産体制を構築します。原材料や部品の供給状況を管理し、欠品や遅延が発生しないための対策も実施しましょう。
そして、製品の品質基準を明確に設定し、製造に関わる全従業員に共有します。
品質基準に基づいて、製品の検査・試験を行い、品質基準に満たない製造物を取り除くことが大切です。
②納期を遵守する
納期の厳守は、顧客満足度を維持するために不可欠です。納期遅れは、顧客の生産計画に大きな影響を与える可能性があるため、品質管理として対策を実施する必要があります。
1つ目の対策として、顧客の注文に基づき、詳細な生産スケジュールを策定しましょう。スケジュール通りに生産が進行するかどうか各工程の進捗を定期的にチェックすることが大切です。
2つ目の対策では、生産遅延のリスクを最小限に抑えるために、予備の生産能力を確保する必要があります。
予期せぬトラブル(機械の故障、材料の欠品など)に対応するための対策を策定しておきましょう。
3つ目は、製造部門や調達部門、販売部門間での情報共有を円滑にできる体制を構築しておくことが大切です。
納期に関する部門間の問題を早期に発見・解決できるためです。顧客との連絡を密に行い、納期変更や仕様変更などの対応があれば、迅速に行える体制を整えましょう。
③トレーサビリティを確保する
トレーサビリティの確保は、品質管理において重要な役割を果たします。
たとえば、各製品や部品にロット番号を付与した場合は、製造工程や原材料の使用履歴の追跡が可能になります。
ロット番号を基に、問題が発生した場合に製造工程を追って原因を突き止められるでしょう。
また、製造工程や品質検査のデータを一元的に管理し、異常が発生した際に迅速に対応できる体制を整えることも大切です。
データ分析によって、品質の向上や不良品の発生原因を継続的に監視・改善することも可能となります。
不良品が発生した場合は、迅速に原因を特定し、再発防止策を講じましょう。
品質管理システムを活用し、製造現場からのフィードバックを収集すれば、今後の品質改善に役立てられます。
品質管理の課題解決策
最後に、品質管理における課題を効果的に解決するための方法について解説します。
①作業の標準化
品質管理のプロセスと各工程でやるべきことを明確にすることが、品質の安定に直結します。
まずは、各工程の詳細な作業手順書とマニュアルを作成し、全従業員に徹底させましょう。手順書には、具体的な作業方法や使用する機器、検査基準などを明記することで平準化が図れます。
作業手順書やマニュアルを作成した後は、定期的に見直しを行い、最新の状態を維持することが大切です。
製造現場の変化や新たな技術の導入に対応するため、柔軟な姿勢で更新していきましょう。
スムーズな作業を実施するために、品質管理システムを導入することも、作業の属人化や人手不足の解消に役立ちます。
作業手順の遵守状況や検査結果をリアルタイムで把握できるため、品質の安定を図れます。
②全社的な教育、部門間のコミュニケーションの促進
品質管理は全社的な取り組みが必要であり、部門間の連携が重要です。
全従業員に対して品質管理の重要性と基本的な知識を教育しましょう。
新入社員だけでなく、定期的に全社員を対象にした品質教育プログラムを実施するとより効果的です。
また、製造部門や品質管理部門、調達部門、販売部門といった各部門間での定期的な情報共有会議を設けましょう。
部門間の連携を強化することで、品質に関する問題を迅速に共有・解決できます。
全社的に品質管理システムを導入すれば、各部門での品質データを一元管理可能です。全社員が品質管理の情報にアクセスできるようになれば、問題発生時の対応も迅速になります。
③DX推進
デジタル技術を活用することで、品質管理の効率化と精度向上を図ることも可能です。
IoT技術による画像解析技術やセンサーを活用することで、製造工程での不良品の早期発見を実現できます。
各工程のデータをリアルタイムで監視し、異常が発生した際には即座に対応可能です。
品質管理に関するデータを一元的に管理し、分析を行うことで、品質向上のための具体的な対策を講じやすくなります。
加えて、経験や勘ではなく、客観的データから品質問題の根本原因を特定できるようになる点も利点の1つです。
デジタル技術を活用すれば、製造工程全体のトレーサビリティを確保できます。
仮に、不良品が発生した場合には、データを基に迅速に原因を特定し、適切な対応を行うことも可能です。
まとめ
生産管理における「品質管理」は、製造業において重要な役割を果たします。効率的な生産と高品質な製品の提供を実現するためには、品質管理のポイントを押さえ、適切な課題解決策を実践することが必要です。適切な品質管理によって、顧客満足度を高め、製造業の競争力を向上させましょう。
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