製造業における生産計画の立て方とは?計画の必要性や計画立案のポイントを解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

製造業における生産計画は、正確かつ効率的に行うことが重要です。しかし、「作業の属人化」や「経験に頼ったアナログな需要予測」など、計画を立てる上での懸念や危機感を抱いている担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、生産計画がうまくいかない原因や生産計画を立てるメリット、適切な生産計画を立てるポイントなどを解説します。

生産管理システム EncycloAudibleの資料ダウンロードはこちら!生産管理システム Encyclo Audibleの資料

なぜ生産計画を立てることが必要なのか

生産計画は、製造業をはじめとした生産業務の効率化に必要なものです。また、資金計画や人員計画に大きく影響するため、その重要性をしっかりと把握して実施しなければなりません。

ここでは、生産計画の概要と2つの方式、3つの期間や生産計画を立てなかった場合に何が起こるのかについてみていきましょう。

生産計画とは

生産計画とは、何を、どの時期に、どのくらい生産して、いつ出荷するのかを計画するものです。製造業であれば、どの製品をどの時期までに、どれくらいの分量を生産するのか、生産量と生産時期を生産計画として立案します。

生産計画に似た用語に「製造計画」や「生産スケジュール」がありますが、それぞれの定義は以下のような違いがあります。

・製造計画:製品の製造工程のみにフォーカスして計画する

・生産スケジュール:生産計画を基準にさまざまな工程の作業手順を計画する

生産計画・製造計画・生産スケジュールの3つの関係性は、「生産計画が製造計画や生産スケジュールを包括している」というイメージです。

生産計画の2つの方式

生産計画には、「押し出し方式(PUSH型)」と「引っ張り方式(PULL型)」の2つの方法があります。それぞれの違いは次の通りです。

①押し出し方式

生産計画を事前に立てて生産を進める方式です。先に立案された計画があるため、シンプルでわかりやすく、作業が進めやすいというメリットがあります。しかし、計画の途中で生産量や人員などの変更があった場合に対応が難しいことや、余剰在庫が出やすいというデメリットがあります。

②引っ張り方式

必要な生産量をあらかじめ算出してから生産計画を立てる方式です。顧客からの受注量や納期を把握し、生産工程を後工程から前工程へ向かって逆算して計画を立てるため、余剰在庫が出にくいなどのメリットがあります。引っ張り方式で生産計画を立てる場合は、計画前に正確な情報を把握しておくことが大切です。

生産計画立案は大きく3つの期間がある

生産計画を立てる際には、期間を分けることが大切です。大きくは、「大日程計画」「中日程計画」「小日程計画」に分けることができます。

①大日程計画

大日程計画は、3か月(あるいは6か月)から12か月、数年の期間を見越して立てる生産計画です。これまでの生産実績を参考にして、長期間での受注量や納品量を予測することで、設備投資や人員計画を立てます。たとえば、現行製品の改良や新規開発すべき製品の生産について、長期間の方向性を定めるものです。ただし、予測に基づいた計画をそのまま進めるのではなく、状況の変化などに合わせながら生産計画の見直しが行われます。

②中日程計画

中日程計画は、1か月から3か月(あるいは6か月)の生産計画を立てるものです。顧客からの受注内容をベースにして、生産量や人員手配、在庫計画などを見直していきます。一般的には、1か月単位で計画内容を見直すため、月次計画と呼ぶこともあります。

③小日程計画

小日程計画は、1週間から1か月の短期的な生産計画を立てるものです。生産量や製造ペース、作業完了日などを詳細に明確化します。計画通りに生産を進めることが重視されるため、立案する従業員は技術やノウハウを熟知していなければなりません。正確な計画を立てることで、設備や人員の稼働率を上げることが可能です。

生産計画を立てなかった場合

生産計画をおろそかにすると、設備投資のコスト肥大、設備や人員の稼働率低下、在庫の過不足、資材調達の遅れといった問題を招いてしまいます。これは、企業の資金や人事計画、ひいては企業全体の利益にも大きく影響するのです。そのため、生産計画を立てることの重要性を理解しておかなければなりません。

しかし、適切な生産計画の立案は簡単なことではありません。その原因や要因にはどのようなものがあるのでしょうか。次項で詳しくみていきましょう。

生産計画の作成を難しくする原因・要因とは

適切な生産計画立案を難しくするのは、主に市場動向の変化や納期変更への対応など、以下の原因や要因が考えられます。

・市場動向の変化:市場動向の変化を正確予測して生産計画へ取り入れることは困難

・納期変更への対応:顧客による納期変更への対応を予測することが困難

・販売計画との連携:販売計画を生産計画へ正確に反映することが困難

・在庫調整との兼ね合い:生産計画に在庫計画を連携させることが難しい

・資材調達の変動:調達可能な資材量やコスト変動を正確に予測することが難しい

・人員計画、原価管理との調整:人員計画や原価管理などのその他計画との乖離が起こる場合がある

・管理が属人化、高齢化:長年の知識やノウハウを生かしたアナログな需要予測を行っているため属人化している。また、高齢化などで退職者が出た場合に、生産計画の管理業務が滞ってしまう

企業によってさまざまな事情が考えられますが、多くの企業で上記項目が当てはまる可能性があります。

また、内示された生産量と、実際に受注が確定した生産量とのブレが発生することもあります。立案した生産計画を見直さなければならないという課題に、頭を悩ませる担当者も少なくないでしょう。

適切な生産計画を立てることのメリット

適切な生産計画を立てることは、さまざまなメリットをもたらします。

・納期厳守:生産計画に基づいて、適切な資材調達が可能になり製造スピードも保てるようになるため、生産性が向上して納期厳守が可能になる

・余剰在庫が不要:必要な生産量を正確に製造できるため、余剰在庫を抱えるリスクが軽減する。また、余剰在庫の削減は、保管コストや在庫管理の手間を減らすことにつながり、コストダウンを実現できる

・作業効率の向上:生産計画に基づいて作業を進めることで、ムダな作業が省かれ待ち時間も減らすことができるため、作業効率を向上できる

・品質向上:生産計画に品質管理の工程を組み込むことで、不良品などの発生を低減でき、品質向上の取り組みを推進できる

生産計画によって上記のようなメリットがもたらされるため、それに付随して過剰な設備投資や人員配置が不要になるといったメリットもあります。

・設備投資の最適化:生産計画に基づいて設備を調達することで、過剰な投資コストを抑制できる

・人員配置の最適化:適切な人員配置が可能になるため、過剰な人員配置を抑制でき、人件費の削減などにつながる

このように、適切な生産計画の立案は多くのメリットを生み、最終的には会社の利益向上と信頼性の向上につながります。

適切な生産計画を立てるためのポイント

適切な生産計画を行うには、リソースの確保や余裕を考慮した計画、そしてツールの導入が大きなポイントになります。

生産実績を正確に把握しておく

生産計画を立てるには、生産現場の情報をリアルタイムに正確に把握しておくことが不可欠です。例えば在庫数が間違っていると、注文に対して正しい生産計画を立てることができず、過剰在庫や欠品といった事態を招くことにもなりかねません。ほかにも、設備や作業工程、作業工数、原材料など、生産に関するさまざまな情報を正確に管理しておくことが必要です。

リソース(人、設備、手順、材料)の確保

生産計画には、人・設備・手順・材料(資材)の確保が欠かせません。これらのリソースを考慮し、過不足を最小限におさえ、実現可能な生産計画を立案することがポイントの一つです。

計画にバッファを持たせる

立案した生産計画のすべてがスムーズに進むわけではありません。そのため、計画に余裕を持たせ、人員の減少や設備の故障、資材入手の遅れや顧客都合による計画の変更に備えておくことが大切です。作業が遅延した場合の計画の再検討がしやすくなります。

生産管理ツールを導入する

生産計画の立案にツールを導入することで、計画全体を可視化して工程を見やすくしたり、複雑な計画を一元管理したりすることが可能になります。近年では、ヒューマンエラーやリソース不足をカバーして管理の精度を向上させるために、生産管理システムを活用している企業も増えています。

まとめ

生産計画は、製造業をはじめとした生産業務の効率化に欠かせません。生産計画がなければ、設備投資のコスト肥大や稼働率低下など、企業全体の利益にまで影響します。リソースの確保や余裕をもたせた計画の立案などのポイントを意識して生産計画を立てましょう。

たとえば属人化問題の解消には、生産管理システムの導入も一つの手段として有効です。適切な生産計画立案のために検討してみてはいかがでしょうか。

システム導入ならば、扶桑電通株式会社のEncycloAudibleがおすすめです。EncycloAudibleは生産プロセスを支援する生産管理システムです。経営スピードアップや収益アップを実現したい、業務の効率化を図りたい、業務に合わせたシステムを構築したい等、経営、現場層より上げられる要望に応えます。原価管理に必要なデータ収集ツールとしても利用でき、業務プロセスの最適化と効率化を支援します。

EncycloAudibleは生産管理を業務ごとに(受注、出荷、発注、受入、在庫、購買、原価)導入することも可能となります。詳しくはこちらをご覧ください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

資料請求・お問い合わせは、以下メールフォームからお問い合わせください。

製品・ソリューションについて

お役立ち資料一覧

PAGE TOP