病院でのカスハラ問題の現状と対処法|患者トラブルから医療スタッフを守るには

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近年、社会全体で問題視されているカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)ですが、医療現場においてもその深刻さは増しています。
悪質なクレームや暴言、理不尽な要求といったトラブルは、職員の心身に大きな負担をかけ、離職の一因ともなりかねません。

ただ、多くの病院やクリニックでは、カスハラに対する具体的な対処法やマニュアルが十分に整備されておらず、対応に苦慮しているのが現状です。

医療スタッフを守り、質の高い医療を提供し続けるためには、組織全体でカスハラ問題に立ち向かう必要があります。

本コラムでは、病院でカスハラが発生する原因やその現状、そして具体的な対処法について詳しく解説します。

▼カスハラについてはこちらもご覧ください。
【事例あり】カスハラ(カスタマーハラスメント)対策とは?義務化についても解説

カスハラ対策のチェックリストはこちらカスハラ対策チェックリスト

目次

病院でのカスハラ問題とは

病院におけるカスハラ問題とは、一体どのようなものなのでしょうか?

医療現場におけるカスハラの定義

医療現場におけるカスハラは、「ペイシェントハラスメント(ペイハラ)」とも呼ばれ、患者やその家族による医療従事者へのハラスメント行為を指します。

具体的には、以下のような行為が含まれます。

こうした行為は、単なるクレームの範囲を超え、医療従事者の安全や尊厳を脅かす悪質なものとして認識されています。

病院特有のカスハラ例

医療現場に特有のカスハラとしては、以下のような例が挙げられます。

これらのカスハラは、医療現場の特殊な状況下で発生しやすく、医療従事者を精神的に追い詰める要因となります。

病院でのカスハラ問題の現状と実態

ここで、病院でのカスハラ問題の現状と実態について、確認しておきましょう。

医療現場でのカスハラ発生件数と傾向

株式会社パーソル総合研究所が2024年に実施したカスタマーハラスメントに関する定量調査によれば、医療・福祉業の43.1%に被害経験があるといいます。

さらに、この3年以内でペイシェントハラスメントが「増えた」との回答は31.5%に上り、増加傾向にあることが伺えます。

引用元:カスタマーハラスメントに関する定量調査(株式会社パーソル総合研究所)

カスハラが医療スタッフに与える影響

カスハラは、医療スタッフの心身に深刻な影響を与えます。
たとえば、次のような悪影響が考えられます。

医療の質低下とサービス提供への悪影響

カスハラは、個々のスタッフだけでなく、次のように医療機関全体にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

病院でカスハラが発生する主な原因

では、改めて病院でカスハラが発生する原因について考えてみましょう。

医療現場特有のストレス要因

原因の一つとして、患者側が医療現場に特有のストレスを感じていることが挙げられます。

待ち時間の長さ

救急外来や人気のある診療科では、待ち時間が長くなりがちです。
患者側は体調が悪く、精神的にも不安定な状態で待たされるため、不満が爆発しやすい状況にあります。

情報の非対称性

患者側は医療の専門知識を持たないため、医療従事者との間に情報の格差があります。
このため、十分な説明がないと感じると不信感や不安を抱き、カスハラにつながることがあります。

命に関わる状況

医療行為は、患者の命や健康に直結します。
そのため、患者や家族が感情的になりやすく、少しのミスや不満が大きなトラブルに発展しやすい傾向があります。

患者・家族の心理的要因

さらに、患者とその家族に生まれやすい心理的要因として、次の3点が挙げられます。

過度な期待をしてしまう

「病院に行けばすぐに治る」
「最新の治療を受けられるはずだ」
といった過度な期待が裏切られたと感じた時に、不満がカスハラというかたちで現れることがあります。

自己中心的な要求をしてしまう

「自分だけ特別扱いして欲しい」
「ほかの患者より優先して欲しい」
といった、自己中心的な要求が通らなかった場合に、カスハラに発展することがあります。

不満のはけとしてしまう

仕事や家庭でストレスを抱えている患者や家族が、医療機関を不満のはけ口としてカスハラを行うこともあります。

医療制度や体制の問題点

また、医療機関側の不備に対する不満がカスハラに発展することもあります。

人手不足

慢性的な人手不足により、医療スタッフ一人ひとりの業務量が増え、患者一人ひとりに十分な時間を割けない状況への不満が、カスハラの一因となることがあります。

コミュニケーション不足

医師や看護師が忙しさから、患者への説明が不十分になったり、質問に丁寧に答えられなかったりすることが、患者の不信感を招き、トラブルに発展する可能性があります。

病院でのカスハラ対処法

カスハラへの対応は、事前対策(予防策)、発生時、事後対応(ケア)の3段階に分けて考えることが重要です。

事前対策・予防策

まず大切なのが、カスハラが発生する前の予防策です。

スタッフ教育・研修の実施

カスハラは、いつ、どこで発生するかわかりません。
すべてのスタッフが適切な知識とスキルを身につけておくことが重要です。
そのためには、次のようは教育が効果的です。

院内環境の整備

物理的な環境を整えることも、カスハラ予防につながります。

コミュニケーション改善

患者や家族とのコミュニケーション改善することで、不満の発生自体を抑えます。

発生時の対応手順

このような予防策を講じていてもカスハラが発生してしまうことはあり得ます。
その際は、次のような手順で対応しましょう。

初期対応

カスハラが発生した際には、初期対応がその後の事態を左右します。
次の点に留意して初期対応に当たりましょう。

たとえば、電話によるカスハラの場合、名乗り方・敬語・クッション言葉・復唱など、マニュアルに沿った標準トーク例(テンプレ)で応対します。

エスカレーション体制の構築

初期対応で解決できない場合は、速やかに上司や責任者、専門部署に報告し、対応をエスカレートさせる体制を構築しておくことが重要です。

たとえば、電話によるカスハラで、担当者が判断に迷った場合のエスカレーション先(内線番号・職名)も、マニュアルに明記しておきましょう。

記録・証拠保全の方法

カスハラ対応においては、記録と証拠保全が非常に重要になります。

相手の発言内容、対応日時、対応したスタッフの名前などを対応記録として詳細に記録します。
可能であれば、相手の承諾を得て通話内容を録音したり、対応の様子を記録したりしましょう。

たとえば、電話によるカスハラの場合、録音する旨の事前告知のアナウンスを自動で流すことで、カスハラを抑止しつつ、患者様との信頼関係も高められるでしょう。

通話の録音については、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】
カスハラ録音は合法?企業が従業員を守るための対策ガイド|メリットやシステム導入まで徹底解説【2025年版】

事後対応とケア

カスハラが発生した後の対応とスタッフのケアも重要です。

被害スタッフへのサポート

カスハラの被害に遭ったスタッフに対しては、以下のようなサポートを提供することが大切です。

再発防止策の検討

さらに、事案ごとに原因を分析し、マニュアルの改善やスタッフ研修の内容を見直すなど、再発防止策を検討しましょう。

病院でのカスハラにおける法的対応

病院におけるカスハラへの法的な対応方法として、次の3点について知っておきましょう。

医療現場での法的権利と対応範囲

カスハラ行為は、暴行罪、傷害罪脅迫罪、恐喝罪、威力業務妨害罪などに該当する可能性があります。

医療機関は、こうした行為からスタッフを守るために、法的な対応を検討する権利があります。

警察・弁護士との連携

悪質なカスハラ事案の場合、速やかに警察に被害届を提出したり、弁護士に相談したりすることが重要です。

日頃から、警察や法律事務所との連携体制を構築しておくことが望ましいでしょう。

診療拒否権の適切な行使

医療機関は、正当な理由がある場合に限り、診療を拒否することができます。

カスハラ行為を繰り返す患者に対しては、他の患者やスタッフの安全を守るため、診療拒否も選択肢の一つとなります。

ただし、生命に関わる緊急性の高い事案の場合は、慎重な判断が求められます。

病院カスハラ対策に効果的なツール・システム

病院カスハラ対策に効果的なツール・システムとして、通話録音システム「CallKeeperDX」をおすすめします。

通話録音システムの重要性

カスハラは、電話で発生することも少なくありません。
特に、患者の暴言や脅迫は、後から「言った・言わない」の水掛け論になりがちです。

通話録音システムを導入することで、以下のメリットが得られます。

CallKeeperDXによる病院向けカスハラ対策

扶桑電通株式会社が提供する「CallKeeperDX(コールキーパーディーエックス)」は、医療機関のカスハラ対策にも有用な通話録音システムです。

いざという時にカスハラの裏付けとなるデータを残せる

録音された音声データは、必要な時に検索・再生が可能です。
悪質なクレームやカスハラに対する法的対応を強力にサポートします。

スタッフ教育・研修への活用

録音された通話データを、研修素材として活用することができます。
これにより、スタッフはより実践的なカスハラ対応スキルを身につけることが可能になります。

CallKeeperDXのサービスページはこちらcallkeeperDX

まとめ

病院におけるカスハラ問題は、医療従事者の安全や精神的な健康を脅かすだけでなく、医療の質やサービス提供にも悪影響を及ぼします。

組織全体でカスハラ対策に取り組むことは、スタッフを守り、ひいては患者の安全と医療機関の信頼性を高めることにつながります。

スタッフ教育、マニュアル整備、ITソリューションの活用など、多角的なアプローチでカスハラ対策を推進し、患者と医療従事者が信頼関係を築ける、より良い医療環境を構築していきましょう。

カスハラ対策のチェックリストはこちらカスハラ対策チェックリスト

著者情報

辻 周平

扶桑電通株式会社 ビジネス推進本部
企画部 パッケージ推進課 チーフ

1982年生まれ 香川県出身。2010年扶桑電通株式会社入社。同社関西支店にて運送、製造業界を担当する営業としてお客様の業務課題の解決に向けたICTの導入を数多く経験。

その後2020年に現在のマーケティング職に異動し、お客様の電話を使った業務やカスタマーサポートのプロセスの最適化や効率化、利便性向上等電話業務全般に関わるコンサルティングに従事。日々お客様の電話業務にまつわる課題解決に取組んでいる。