クラウドPBXの音質は悪い?原因と対策、通話品質を左右する条件と失敗しない選定基準を解説

「クラウドPBXは音質が悪いと聞いたことがある」「導入後に通話が途切れたり、ノイズが出たりしないか不安」——クラウドPBXの導入を検討するうえで、音質・通話品質への不安を抱える担当者は少なくありません。結論から言えば、クラウドPBXの音質は「必ず悪い」わけではありません。ネットワーク環境・設定・ベンダーの選び方によって、固定電話と遜色ない品質を実現することも十分可能です。本記事では、クラウドPBXの音質が悪化する原因を技術的に整理し、具体的な対策と、通話品質を担保するためのベンダー選定基準まで詳しく解説します。
クラウドPBXの音質に関する基礎知識
なぜクラウドPBXは「音質が悪い」と言われるのか
クラウドPBXの音質に対する不安の多くは、VoIP(Voice over IP)技術の特性に由来します。従来の固定電話(PSTN)は通話専用の回線を占有する「回線交換方式」で動作するため、音声の経路と帯域が通話中は確保された状態になります。一方、VoIPベースのクラウドPBXは音声をデジタルデータのパケットに分割してインターネット上で送受信する「パケット交換方式」を使います。
パケット交換方式では、音声パケットが他のデータと同じネットワーク経路を共有するため、回線の混雑・遅延・パケットの欠損といった影響を受けやすいという特性があります。このネットワーク依存性が「音質が悪い」というイメージの根拠です。ただし、適切なネットワーク設計と設定を行えば、これらの影響は最小化できます。
通話品質を測る指標:MOS値とは
VoIPの通話品質を客観的に測る指標として広く使われるのが「MOS値(Mean Opinion Score)」です。MOS値は通話品質の主観的な印象を数値化したもので、1〜5のスコアで表されます。5が最高品質で、一般的に3.5以上が「業務使用に問題ない水準」とされています。固定電話(PSTN)のMOS値はおよそ4.0前後、HD音声(広帯域コーデック)対応のVoIP通話では4.0〜4.5程度を実現できます。
MOS値はネットワークの状態(遅延・ジッター・パケットロス)やコーデックの種類によって変動します。後述するネットワーク品質の各指標がMOS値にどう影響するかを把握しておくことが、品質改善の第一歩です。
通話品質に影響する3つのネットワーク指標
クラウドPBXの通話品質に直接影響するネットワーク指標は、遅延(Latency)・ジッター(Jitter)・パケットロス(Packet Loss)の3つです。遅延は音声パケットが送信元から受信先に届くまでの時間です。一般的に片道150ms以下が推奨値とされ、これを超えると会話のテンポがぎこちなく感じられます。ジッターはパケットの到着間隔のばらつきを指し、30ms以下が望ましい水準です。ジッターが大きいと音声が断続的に途切れます。パケットロスは送信したパケットが届かない割合で、1%を超えると音声品質の低下が顕著になります。これらの数値を定期的に計測・監視することが、品質維持の基本です。
クラウドPBXの音質が悪化する5つの原因
原因1:インターネット回線の帯域不足
最も一般的な音質悪化の原因が、インターネット回線の帯域不足です。VoIP通話1チャネルあたりの帯域消費量はコーデックによって異なりますが、標準的なG.711コーデックで約80〜100kbps、圧縮率の高いG.729コーデックで約20〜30kbps程度です。一見少ない数値に見えますが、社員が同時に多くの通話を行う環境では合計帯域が膨らみます。さらに、ビデオ会議・ファイル転送・クラウドバックアップといった他のネットワーク利用と帯域を共有している場合、通話の品質が圧迫されます。
特に問題になりやすいのは、午前中や昼休み明けなどオフィス全体のネットワーク利用が集中するピーク時間帯です。普段は問題なくても、特定の時間帯だけ音質が悪化するという場合は帯域不足が疑われます。
原因2:ネットワーク機器の設定不備(QoS未設定)
回線の帯域自体は十分でも、QoS(Quality of Service:サービス品質制御)が設定されていない場合、音声パケットが一般データと同等の優先度で処理されます。大容量ファイルのダウンロードやバックアップ処理が発生すると、音声パケットの転送が後回しになり、遅延・ジッター・パケットロスが急増します。音声通話はリアルタイム性が求められるため、わずかな遅延でも体感品質に大きく影響します。
QoSはルーターやスイッチで音声トラフィックを識別し、優先的に処理させる設定です。DSCP(Differentiated Services Code Point)マーキングを用いて音声パケットに優先フラグを付与し、ネットワーク機器でそれを識別して優先処理させる仕組みが一般的に使われます。この設定が行われていないオフィスネットワークは、クラウドPBX導入時の音質問題が起きやすい環境です。
原因3:Wi-Fi接続による不安定さ
有線LAN接続と比べて、Wi-Fi経由の接続は電波干渉・障害物による電波減衰・チャネルの混雑などにより、通信の安定性が下がりやすい特性があります。特に古いWi-Fi規格(802.11n以前)のアクセスポイントや、多くのデバイスが接続している混雑した環境では、ジッターとパケットロスが増加し、音声品質が大きく低下することがあります。
スマートフォンのソフトフォンアプリを使う場合は、接続するWi-FiのSSIDや電波強度によって品質が変わるため、オフィス内の電波環境のムラが問題になるケースもあります。また、Wi-Fiアクセスポイントをまたいだローミングのタイミングで音声が一時的に途切れる問題が発生することもあります。
原因4:コーデックの選択が最適でない
コーデック(Codec)とは音声をデジタルデータに変換・復元する方式で、クラウドPBXの音質と帯域効率を大きく左右します。代表的なコーデックとして、G.711は非圧縮で高音質ですが帯域消費が大きく、G.729は圧縮率が高く帯域を節約できますが音質はやや下がります。近年普及しているOpusコーデックは低遅延・高音質・広帯域に対応し、ネットワーク状況に応じて適応的にビットレートを調整できるため、品質と効率を両立できます。
ベンダーやデバイス(IP電話機・スマホアプリ)によって対応コーデックが異なり、送受信双方が同じコーデックに対応していないと品質の低いコーデックにフォールバックすることがあります。HD音声(広帯域コーデック)対応を謳っていても、実際の通話経路でHDが使えていないケースがあるため、使用コーデックの確認が重要です。
原因5:クラウドPBXサーバーの地理的距離・処理遅延
クラウドPBXのサーバーが海外(特にアジア圏外)に設置されている場合、音声パケットの往復距離が長くなり、物理的な遅延(伝送遅延)が増加します。日本国内のユーザーが海外サーバーのクラウドPBXを利用すると、国内サーバーと比べて遅延が数十ms増加することがあります。これ自体は許容範囲内の場合もありますが、ネットワーク品質が不安定な条件と重なると問題が顕在化しやすくなります。
また、ベンダーのサーバー側の処理能力・冗長化の設計・ピーク時のリソース確保が不十分な場合、特定の時間帯にサーバー側で処理遅延が発生し、音質低下やつながりにくさの原因になります。
音質悪化の症状別:原因の切り分け方
症状1:声が途切れ途切れになる・音声が断片的に聞こえる
音声が断続的に途切れる症状の主な原因はジッターとパケットロスです。ジッターが大きい場合、音声パケットの到着タイミングが不規則になり、受信側での音声の再生が滑らかにつながらなくなります。パケットロスが発生している場合は音声の一部が欠落し、「ブツブツ」と途切れる症状として現れます。
切り分け方
ネットワーク診断ツール(pingコマンド・traceroute・専用のVoIP品質測定ツールなど)を使って、クラウドPBXサーバーへの遅延・ジッター・パケットロスを計測します。問題がオフィス内のネットワークにあるのか(LAN内の問題)、インターネット回線上にあるのか(ISP・回線の問題)、サーバー側にあるのかを順に切り分けます。特定の時間帯・特定の場所でのみ発生する場合は、その条件下でのネットワーク計測を行います。
症状2:エコー(自分の声が返ってくる)が発生する
エコーが発生する原因は大きく2つあります。ひとつはアコースティックエコーで、スピーカーから出た音がマイクに回り込むことで発生します。ハンズフリー通話やスピーカーフォン使用時に起きやすく、端末のエコーキャンセル機能が適切に動作していない場合に顕在化します。もうひとつはネットワークエコーで、遅延の大きいネットワーク環境で音声パケットが反射・折り返されることで発生します。
切り分け方
ヘッドセットやハンドセット(受話器)を使って同じ通話をテストしてみます。ハンズフリー・スピーカーフォン使用時のみエコーが出る場合はアコースティックエコーが原因です。すべての端末で発生する場合はネットワーク遅延や端末のエコーキャンセル設定の問題を疑います。使用しているIP電話機・ソフトフォンのエコーキャンセル(AEC)設定を確認します。
症状3:音量が小さい・こもった音になる
音量の低さやこもった音質の主な原因はコーデックの選択と端末の設定にあります。低ビットレートのコーデック(G.729など)を使用している場合や、HD音声に対応していないコーデックで通話している場合、音質が狭帯域になり「こもった」印象になります。また、端末側のマイクゲイン・スピーカー音量の設定が適切でない場合も音量不足として現れます。
切り分け方
ベンダーの管理コンソールまたは端末の設定で、使用コーデックを確認します。G.711またはOpusなど高品質コーデックに変更して改善するかテストします。端末のマイク・スピーカー設定も確認し、OS側の音量・入力レベル設定も見直します。
症状4:通話がたびたび切断される
通話が突然切れる症状は、SIPセッションの維持に関わる問題が多いです。ファイアウォール・NATルーターがSIPパケットを適切に処理できていない場合(SIPアライアウェル問題)、一定時間後にセッションが強制切断されることがあります。また、使用しているルーターやファイアウォールがSIPシグナリングを誤って改変(ALG:Application Layer Gatewayによる書き換え)することで、通話が維持できなくなるケースもあります。
切り分け方
ルーターのSIP ALG機能が有効になっていないか確認します。多くのクラウドPBXベンダーはSIP ALGを無効にすることを推奨しています。また、SBCが導入されているかも確認します。SBC(Session Border Controller)はSIPセッションの維持・NAT越えを適切に処理し、通話の突然切断問題を解消する効果があります。
通話品質を改善する具体的な対策
対策1:帯域保証型のインターネット回線に切り替える
フレッツ光などの一般的なベストエフォート回線は、契約帯域が保証されるものではなく、混雑時には実効速度が大幅に低下することがあります。クラウドPBXで安定した通話品質を確保したい場合は、帯域保証型の法人向け回線(専用線・IP-VPN・イーサネット専用線など)への切り替えを検討します。帯域保証型の回線は費用が高くなりますが、通話品質の安定性は格段に向上します。
すべての回線を帯域保証型に切り替えるコストが難しい場合は、通話トラフィックを一般のインターネットトラフィックと物理的または論理的に分離する方法(回線の複数契約・VLAN分離)も有効です。
対策2:ルーター・スイッチにQoS設定を施す
既存の回線のままで通話品質を改善する最もコスト効率の高い対策がQoS設定です。ルーターやスイッチで音声トラフィックを識別し、優先的に転送されるよう設定します。具体的にはDSCPのEF(Expedited Forwarding)マーキングを音声パケットに付与し、ネットワーク機器がそれを優先処理する設定を行います。
設定の前提として、使用しているルーター・スイッチがQoS機能に対応していることを確認します。古い機器や低価格の家庭用ルーターはQoSに対応していない場合があります。法人向けのビジネスグレードのルーター(Cisco・Yamaha・FortiGate等)を使用することで、QoS設定の精度と安定性が向上します。
対策3:音声と一般データのVLANを分離する
音声トラフィックと一般データトラフィックをVLAN(仮想LAN)で論理的に分離することで、大容量データ通信の影響を音声が受けにくくなります。音声専用のVLANを設け、そのVLANのトラフィックに対してQoS優先制御を適用することで、ネットワーク全体の負荷変動に左右されない安定した音声品質を確保できます。
IP電話機の多くはVLANタギングに対応しており、設定によって音声VLANとデータVLANを端末レベルで分離できます。この設定はスイッチとIP電話機の双方で行う必要があり、クラウドPBXベンダーまたはネットワーク専門業者のサポートを受けながら実施することを推奨します。
対策4:Wi-Fi環境を見直す・有線接続に切り替える
音声品質の安定性という観点では、有線LAN接続が最も信頼性が高いです。固定席のIP電話機や、デスクで使うPCのソフトフォンは有線接続を基本とすることを推奨します。Wi-Fi経由で通話する場合は、Wi-Fiアクセスポイントを現行規格(Wi-Fi 6/802.11ax)に更新し、音声に使用する周波数帯(5GHz帯が2.4GHz帯より干渉が少ない)を分けて設定します。
オフィス内の電波強度のムラをなくすためにアクセスポイントの配置を最適化し、通話中に発生するローミング(アクセスポイントの切り替え)による断途を防ぐ設定(スティッキークライアント対策)も有効です。
対策5:SIP ALGを無効化し、SBCを導入する
ルーターのSIP ALG(Application Layer Gateway)機能はSIPパケットを書き換えることがあり、クラウドPBXとの通信を阻害して音質低下や通話切断の原因になります。クラウドPBXベンダーの多くがSIP ALGの無効化を推奨しています。使用しているルーターの設定画面でSIP ALGを無効にします。
さらに品質を高めたい場合は、SBC(Session Border Controller)の導入が有効です。SBCはSIPセッションの境界でNAT越え・セキュリティ制御・QoSマーキングを適切に処理し、安定した通話品質の維持に貢献します。特に大規模な同時通話が発生するコールセンター環境では、SBCの導入が通話品質安定化の重要な要素となります。
通話品質を左右するネットワーク設計のポイント
導入前に行うべきネットワーク品質測定
クラウドPBXを導入する前に、現在のネットワーク環境が通話品質の要件を満たしているかを測定します。確認すべき数値の目安は、遅延(RTT)150ms以下、ジッター30ms以下、パケットロス率1%未満、帯域は同時通話チャネル数×約100kbps(G.711使用時)です。
測定ツールとしては、Speedtest.netによる帯域測定、pingコマンドによる遅延・パケットロスの確認、専用のVoIP品質診断ツール(多くのクラウドPBXベンダーが提供)が活用できます。測定はオフィスのネットワーク負荷が高いピーク時間帯に行うことが重要で、閑散時の計測だけでは実態を把握できません。
同時通話チャネル数に応じた帯域設計
ネットワーク設計では、必要な同時通話チャネル数から逆算して必要帯域を算出します。例として、ピーク時に20チャネルの同時通話が想定される場合、G.711コーデック使用時に必要な帯域はおよそ2Mbps(20×100kbps)です。これに加え、一般業務のデータ通信・ビデオ会議・クラウドサービスの利用帯域を積み上げて必要総帯域を算出し、バッファ(20〜30%程度)を加えた回線容量を確保します。
帯域設計は導入時だけでなく、組織の成長・拠点の追加・業務の変化に応じて定期的に見直すことも重要です。特にテレワーク対応でVPN経由のトラフィックが増加している環境では、音声と他のトラフィックの帯域配分を再評価する必要があります。
モバイル・テレワーク環境での品質確保
スマートフォンのソフトフォンアプリをテレワークや外出時に使用する場合は、利用環境ごとの品質対策が必要です。自宅での利用は一般的な光回線+Wi-Fiが多いため、自宅のWi-Fiルーターの性能・チャネル設定・電波環境が通話品質を左右します。必要に応じて自宅用のWi-Fiルーターの更新を検討します。
モバイルデータ通信(4G/5G)での利用は、エリアや電波状況によって品質が変わります。電波が弱い環境(地下・建物内など)ではパケットロスが増加しやすいため、重要な商談や顧客対応は電波が安定した場所から行うことを社内ルールとして定めることを推奨します。また、一部のクラウドPBXサービスはモバイル環境での品質最適化(適応的コーデック・帯域節約モード)に対応しているため、ベンダーの対応状況を確認します。
音質で失敗しないベンダー選定基準
国内データセンターの使用と冗長化構成を確認する
クラウドPBXサーバーが国内のデータセンターに設置されているかは、遅延に直接影響します。国内サーバーを使用しているベンダーを選ぶことで、物理的な伝送遅延を最小化できます。また、サーバーが冗長化されているか(単一障害点がないか)、複数のデータセンターに分散配置されているかを確認します。冗長化構成のベンダーはサーバー側の障害時でも通話品質への影響を最小化できます。
対応コーデックとHD音声への対応を確認する
ベンダーが対応しているコーデックの種類を確認します。G.711(標準品質)に加え、OpusやG.722といったHD音声対応コーデックをサポートしているベンダーを選ぶことで、高品質な通話環境を実現できます。特にスマートフォンアプリやPCソフトフォンでHD音声が使えるかを確認します。HD音声対応のコーデックは声の高低・細かなニュアンスまで再現できるため、長時間の通話でも聞き疲れしにくい品質を提供します。
SLAで定められた通話品質保証の内容を確認する
ベンダーのSLA(サービスレベル協定)では、稼働率の保証値だけでなく通話品質に関する指標(遅延・パケットロス・MOS値の目標値)が明記されているかを確認します。品質保証の内容が具体的な数値で示されているベンダーは、品質管理に対する姿勢が明確です。SLAに違反した場合の補償条件(サービスクレジットなど)も確認し、品質トラブル時の対応方針を把握しておきます。
無料トライアルで実際の通話品質を検証する
ベンダーが提供する無料トライアルを活用して、契約前に実際の通話品質を自社の環境で確認します。トライアル時には以下の条件で検証することを推奨します。オフィスのピーク時間帯(午前10時〜12時・午後2時〜4時など)での通話テスト、複数の同時通話を発生させた状態での品質確認、スマートフォンアプリ・IP電話機・PCソフトフォンそれぞれでの動作確認、外出先のモバイル環境・テレワーク環境からのアクセステストを実施します。
トライアル中に発生した品質問題をベンダーのサポートに相談し、対応スピードと技術的な回答の質を評価することも、ベンダーの実力を測る重要な機会です。サポートの技術力が低いベンダーでは、本番導入後に問題が発生した際の解決が遅れるリスクがあります。
品質問題への技術サポート体制を確認する
通話品質の問題は発生してから原因を特定・解消するまでに時間がかかることがあります。ベンダーが通話品質の診断ツール(管理コンソール上でのMOS値モニタリング・通話ログの分析機能)を提供しているかを確認します。問題発生時にネットワーク側の問題かサーバー側の問題かを切り分けるための技術的なサポートを受けられるか、専門の技術担当者に相談できるサポート窓口があるかも重要な選定基準です。
まとめ
クラウドPBXの音質は「必ず悪い」ものではなく、ネットワーク環境・設定・ベンダーの選び方によって十分な品質を実現できます。音質悪化の主な原因は回線の帯域不足・QoS未設定・Wi-Fiの不安定さ・コーデックの選択・サーバーの遅延の5つであり、それぞれに具体的な対策があります。
導入前にネットワーク品質を測定し、必要な帯域とQoS設定を確保することが品質確保の基本です。症状が発生した場合は遅延・ジッター・パケットロスの計測から原因を切り分け、QoS設定・VLAN分離・SIP ALGの無効化・SBC導入といった対策を段階的に実施します。ベンダー選定では国内データセンターの使用・HD音声への対応・SLAの品質保証内容・無料トライアルでの実測を必ず行うことが、音質面での失敗を防ぐ最善策です。
通話品質への不安を理由にクラウドPBXの導入をためらっている場合も、事前の環境整備と適切なベンダー選定によって高品質な通話環境を構築することは十分に可能です。本記事で紹介した確認項目とチェックポイントを活用して、導入計画を進めてください。
著者情報

辻 周平
扶桑電通株式会社 ビジネス推進本部
企画部 パッケージ推進課 チーフ
1982年生まれ 香川県出身。2010年扶桑電通株式会社入社。同社関西支店にて運送、製造業界を担当する営業としてお客様の業務課題の解決に向けたICTの導入を数多く経験。
その後2020年に現在のマーケティング職に異動し、お客様の電話を使った業務やカスタマーサポートのプロセスの最適化や効率化、利便性向上等電話業務全般に関わるコンサルティングに従事。日々お客様の電話業務にまつわる課題解決に取組んでいる。



