クラウドPBXの転送機能を徹底解説!業務効率化とコスト削減を両立する仕組み

近年、多くの日本国内企業が人手不足や生産・投資コストの増加という厳しい経営環境に直面しています。
限られたリソースで業務効率化を推進し、同時に営業利益を確保して賃上げ原資を創出することは、現代の企業経営において避けては通れない最優先課題と言えるでしょう。
このような状況下で、従来のビジネスフォンによる「電話転送」のコストや、電話対応のためにオフィスへ出社せざるを得ない体制が、業務のボトルネックや多様な働き方の阻害要因となっています。そこで、解決策として注目を集めているのが「クラウドPBX」です。
本記事では、クラウドPBXの転送機能が従来の電話転送とどう違うのか、なぜ業務効率化と大幅なコスト削減を両立できるのか、その仕組みや導入のメリットを徹底的に解説していきます。
現代企業が抱える電話対応の課題
オフィスのインフラとして長年機能してきた電話環境ですが、社会情勢や労働環境の変化に伴い、多くの企業でその運用方法が見直されるようになっています。ここでは、現在の日本国内企業が直面している具体的な経営課題と、従来の電話体制が引き起こしているビジネス上の限界について詳しく見ていきましょう。
人手不足とコスト増の現状
現代の日本国内における企業は、非常に深刻な人手不足と原材料高・物価高騰によるコスト増加という、二重の試練に直面しています。売上高が回復基調にある一方で、人材の確保は極めて難しくなっており、多くの企業が供給制約のリスクを抱えているようです。
このような厳しい経営環境を乗り越え、持続的な賃上げや省力化投資を行うためには、一人当たりの業務効率化と営業利益の向上がこれまで以上に強く求められています。その結果、平時の事業強化や生産性向上のボトルネックになりやすい業務の一つとして、オフィスにおける「電話対応」がクローズアップされているのです。
従来のビジネスフォンや電話転送サービスに潜む限界
多くの企業で長年使われてきた従来のビジネスフォンや、通信キャリアが提供する外線転送サービスには、現在の柔軟なビジネス環境に対応しきれない限界がいくつか存在します。主だった問題点として、以下のような点が挙げられます。
- 転送にかかる通話料金の負担:外線転送を行うたびに、会社から転送先スマホへの外線通話料が会社負担として発生するため、コストが膨らむ傾向があります。
- 不必要な電話でのコスト発生:営業電話や間違い電話であっても、転送されればその分の通話料金が課金されてしまいます。
- 発信元の番号が分からない:転送されてきたスマホの画面には「会社の電話番号」が表示されることが多く、誰からの着信なのかを事前に判別しにくい仕様になっています。
- 転送先が限定される:一般的に転送先を1か所しか指定できないサービスが多く、担当者が電話に出られない場合の機会損失や、特定の社員への負担集中を招く原因となりがちです。
その結果、こうした仕組み上の制限が、テレワークの普及や業務効率化の足かせになっているケースが少なくないようです。
鍵となる「クラウドPBX」とは
従来の電話環境が抱える課題を根底から解決する技術として、導入を検討する企業が増加しているのが「クラウドPBX」です。
PBXとは、社内の内線や外線ネットワークをコントロールする主装置(交換機)を指します。従来のビジネスフォンでは、この主装置をオフィスの壁面や床下に物理的に設置し、有線の電話回線を各デスクに引き込む必要がありました。
これに対してクラウドPBXは、主装置の機能をインターネット上の「クラウド」に配置する仕組みです。オフィスに物理的な機器を設置する必要がなく、インターネット環境さえあれば、スマートフォンやパソコンをビジネスフォンとして活用できるようになります。場所の制約を受けずにオフィスと同じ電話環境を構築できるため、企業のデジタル化(DX)や多様な働き方を支える強力なインフラとして評価を高めているようです。
クラウドPBXの導入で「電話転送」はどう変わる?
従来のビジネスフォンでは実現できなかった、コスト面・運用面における4つの代表的な変化と、それらがもたらすメリットについて具体的にご紹介します。
拠点間・スマホへの転送(内線取次)コストが無料に
クラウドPBXにおける最大の変革は、オフィス外にいる社員への取次ぎが「外線転送」ではなく「内線通話」に変わる点です。インターネット経由でクラウド上の主装置に接続しているため、離れた場所にいる社員のスマートフォンや別拠点の端末であっても、すべて同じグループの内線として扱われます。その結果、外出中の営業担当や在宅勤務中の社員へ電話を取り次ぐ際の転送コストが完全に無料となります。
複数端末への「同時鳴動」で折り返し対応を削減
従来の転送電話とは異なり、クラウドPBXではあらかじめ設定した複数のスマートフォンやパソコンを同時に鳴らす「同時鳴動」が可能です。例えば、代表番号への着信を営業部全員のスマホへ同時に割り振ることで、手の空いている社員がその場で対応できるようになります。このため、特定の誰かが出社して電話を受け、折り返しのメモを残すといった無駄なプロセスが減少します。
着信時に相手の電話番号が分かり、スマートな顧客対応が可能
クラウドPBXの多くは、転送されたスマートフォンであっても、会社に直接かかってきた発信者の電話番号や登録された顧客名を表示する機能を備えています。誰からの電話なのかを出る前に把握できるため、外出先であっても「お世話になっております、〇〇様」といったスムーズな挨拶から会話を始めることができます。
外出先や自宅からでも「会社の代表番号」で折り返し発信
個人の携帯電話から顧客へ折り返し連絡をする際、個人の携帯番号を知られたくないために非通知で発信したり、連絡が遅れたりすることがあります。クラウドPBXを導入すれば、専用のアプリを経由して発信することで、外出先や自宅からであっても「会社の代表番号(03や06など)」で相手に通知して通話することが可能になります。顧客側も安心して電話に出られるため、ビジネスチャンスを逃すリスクの軽減に繋がります。
クラウドPBXの転送機能が業務効率化とコスト削減を両立する理由
なぜクラウドPBXの転送機能は、企業の固定費を削りながら全体の生産性を押し上げることができるのでしょうか。
無駄な転送通話料や高額な設備維持費をカット
クラウドPBXは、導入時だけでなく運用の継続においても劇的なコスト削減効果をもたらす傾向があります。先述したスマホへの取次通話料(内線化による無料化)に加え、オフィスの移転や席替え、人員増加に伴う電話線の配線工事費、物理的な主装置の維持費用などが原則不要となります。コスト管理をシビアに行い、営業利益を確保したい現代の企業にとって、通信費の固定費化と削減は非常に大きなメリットです。
電話対応のための「限定的な出社」をゼロへ
働き方改革の推進やワークライフバランスの観点からテレワークを導入したものの、「会社の電話を取るためだけに当番制で出社している」という不条理な運用に悩む企業は少なくありません。クラウドPBXの柔軟な転送・受付体制があれば、自宅にいながら会社宛ての電話に対応できるため、実質的な「完全テレワーク」の運用が可能となります。その結果、業務プロセスの見直しによる効率化が実現し、人材の定着や確保にも効果を発揮します。
スマートフォンやPCの内線化(BYOD)
社員がすでに所有している私物のスマートフォンや業務用のノートPCに専用アプリをインストールするだけで、そのままビジネスフォンとして利用できる運用(BYOD:Bring Your Own Device)を容易に構築できます。会社側で高価な専用端末を支給する必要がなく、組織の柔軟性を活かした迅速な意思決定体制を維持できます。通信費用はアプリ経由の会社請求となるため、公私費用精算が煩雑になる心配もありません。
クラウドPBXの転送機能が特に活躍する会社の特徴
クラウドPBXは日本国内のあらゆる業種で導入が進んでいますが、自社のワークスタイルや組織の体制によって、その導入効果の大きさは異なります。ここからは、クラウドPBXの転送機能を導入することで、特に大きな業務改善効果を実感しやすい企業の特徴を4つのパターンに分けてご紹介します。
在宅勤務(テレワーク)や柔軟な働き方を推進している
在宅勤務や時差出勤など、多様な働き方を人事戦略や福利厚生の整備として取り入れている企業には最適なインフラです。場所を選ばずオフィスと同等の電話受付・取次環境を維持できるため、勤務環境の改善と顧客対応の質の維持を高いレベルで両立できます。
社員の外出・出張・直行直帰の機会が多い
営業職やフィールドエンジニアなど、オフィスを不在にしがちなメンバーが多い会社では、電話の「連絡待ち」や「折り返しのタイムラグ」がビジネスのスピードを遅らせる要因になります。クラウドPBXによるダイレクトな内線取次や会社番号発信が、商談の成約率向上をサポートします。
本社・支店・工場など、国内に複数の拠点を構えている
国内に複数のオフィスや店舗、工場、倉庫などの拠点を持つ企業の場合、拠点間の連絡はすべて内線通話(無料)となります。例えば「東京本社にかかってきたお問い合わせを、福岡支店の担当者へ無料で内線転送する」といった柔軟な連携が可能になり、組織の一体化と大幅な通信費カットを同時に実現できます。
限られた人員(人手不足環境)で電話の取次ぎ業務を減らしたい
深刻な求人難に直面し、少ない人員で日々の業務を回している事業者にとって、鳴り止まない電話への対応や取次ぎに要する時間は無視できない負担です。クラウドPBXの同時鳴動機能や、後述する自動応答などを活用することで、電話取次ぎにかかる間接業務を削減し、コア業務へ集中できる環境を整えることができます。
失敗しないクラウドPBX・転送機能の選び方
数多くのクラウドPBXサービスが市場に存在する現在、自社に最適なシステムを見極めるためにはいくつかの重要な選定基準があります。失敗を防ぐために、必ずチェックしておくべき3つの重要ポイントを解説します。
音質や遅延などの「通話品質」と安定性をチェック
クラウドPBXはインターネット回線を利用して音声通話を行うため、サービスの提供元の通信インフラの強靭さや、音声のクリアさ(通話品質)が極めて重要です。ビジネスの現場において、音声の途切れや大きな遅延は顧客からの信用低下を招きかねません。総務省の定める通話品質基準(クラスAなど)に準拠しているか、安定した通信実績があるかを事前に確認することをおすすめします。
自社が必要とする転送設定や自動応答(IVR)の柔軟性
「平日の夜間や土日は自動音声のガイダンスに切り替える」「特定の曜日だけ別の担当者のスマホへ転送する」といった、自社の営業時間や人員配置に合わせたスケジュール設定がブラウザの管理画面などから直感的に行えるかどうかも大切なポイントです。自動応答(IVR)機能が充実していれば、一次対応そのものを自動化し、さらに業務を効率化できます。
既存の電話番号が継続利用できるか
多くの企業にとって、すでに名刺やホームページに記載している「03」や「06」から始まる市外局番、あるいは「050」「0120」などの番号が変わってしまうことは、取引先への周知コストも含めて大きな痛手となります。現在利用している電話番号をそのままクラウドPBXに移行できるか(ナンバーポータビリティへの対応可否)、また移行可能なエリアや回線種別の条件をベンダーへ必ず事前に問い合わせておきましょう。
まとめ
原材料高や労働力の供給制約など、日本の企業を取り巻く外部環境は変化しており、従来のやり方のままでは現状維持すら困難な時代が到来しています。電話対応のために割かれる時間的・金銭的なコストを見直し、積極的なデジタル化(DX)によって労働生産性を向上させることは、これからの企業の成長・持続的発展に向けた不可欠な一歩です。
クラウドPBXの転送機能を適切に活用すれば、無駄な転送通話料や設備維持費といったコストを削減しながら、場所に縛られないスマートで効率的な働き方を実現することができます。自社の規模や求める品質、現在の電話番号の状況などを総合的に考慮し、自社の「経営力」を高めるための最適なシステム選びを進めてみてはいかがでしょうか。
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著者情報

宮崎 久美子
扶桑電通株式会社 ビジネス推進本部
マーケティングセンター チーフ
長年にわたり、国内大手ITグループにてIT製品のプロモーションやプリセールス業務に従事。GIS、BI、セキュリティ、RPAなど多岐にわたるソリューションのデモンストレーションやセミナー講師を経験。お客様の目線に立ち、分かりやすく魅力的に伝えることを信念としている。
現在は、扶桑電通株式会社にてチーフを務め、クラウドPBXをはじめとする自社ソリューションの魅力を多角的に発信。ナレーター経験で培った表現力と、数多くのデモ実施で得た現場感覚を武器に、お客様の課題解決に繋がるDX提案を推進している。




