~当社のDX取組み実践事例~
全社で推進する「DXの市民化」への道

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多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に課題を抱える中、本記事では当社が全社で取り組む「DXの市民化」という独自のアプローチによる実践事例をご紹介します。

当社は、ICTを使ってお客様のDXを実現し、社会価値と企業価値の両方を高める“伴走型パートナー企業“を目指して、2022年10月にDX推進室の設置から始まった体制構築、生成AI活用による生産性向上、さらには、社員一人ひとりが変革の主役となる「DXアンバサダー」育成に取組んできました。
当社が実践してきた内容について、具体的な手法までご紹介します。
この記事をご覧頂き、貴社が全社を巻き込むDXを推進し、組織文化を変革しながらビジネス成果を最大化するための具体的なロードマップ作製の一助となれば幸いです。

1. 全社を巻き込むDX推進体制の構築

1.1 DX推進室の役割と全社横断WGの組成

当社では、加速するデジタル化の波に対応し、持続的な企業成長を実現するため、2022年10月に「DX推進室」を設置しました。この組織は、単にITツールを導入するだけでなく、「DXビジョンと戦略」に基づき、全社員がデジタル変革の担い手であるという理念を浸透させる「社内全体のDXマインド醸成」と「具体的施策の実行」を両輪で進めています。

DX推進室は、全社的なDX戦略の策定や進捗管理に加え、各部門のデジタル課題を解決する支援を担っています。しかし、真のDXは一部の専門部署だけでは成し遂げられないという考えから、特定のミッションごとに社内から意欲あるメンバーを募り、組織横断型のワーキンググループ(WG)を組成しました。
お客様DXを支えるDX素材を検討しアプローチする「ビジネス革新WG」、当社内DXを検討し推進する「社内業務革新WG」、お客様DXや社内DXを実践できる人財像を検討する「企業革新WG」の3つです。
これらのWGを通じて知見や現場の声を直接反映させることで、実効性の高い全社的な推進体制を確立しています。

1.2 中期経営計画「FSV2027」と連動したDX活動の本格化

当社のDX活動は、2024年度からスタートした中期経営計画「FuSodentsu Vision 2027(FSV2027)」と密接に連動しています。この計画では、DXを企業成長の最重要戦略と位置づけ、「マーケット基軸への転換」と「業種区分に基づく価値提供」を実現するためのエンジンとして機能させています。

中期経営計画の目標達成に向け、分科会・WGの活動はさらに深化しています。メンバーは戦略目標に基づき、自らが主体となって「業務プロセスのデジタル化による生産性向上」や「顧客体験を向上させる新サービスの開発」を立案・実行しています。
これにより、DXは単発のITプロジェクトではなく、事業構造そのものを変革し、新たな顧客価値を創出するための継続的な経営活動として根付いています。

2. 「DXの市民化」を目指す具体的な活動事例

DX活動のひとつである社内DXの推進にあたり、全社的な旗印として掲げているのが、「DXの市民化」です。これは、DXを一部の専門家だけのものとせず、社員一人ひとりがデジタル技術を「当たり前の道具」として活用し、自ら変革を生み出す文化を指します。

2.1 生産性向上と顧客価値創出を両立する生成AI活用

2024年より、当社はMicrosoft Copilotの段階的な導入を開始しました。この目的は、単なる作業効率化に留まりません。社員自らが生成AIを使い倒し、その体験から得た知見やアイデアをお客様への提案に活かすことで、社内の生産性向上とお客様への価値創出を同時に実現することを目指しています。

2.2 全員参加型DXへのシフトと文化変革

2025年からは「DXの市民化」を全社目標に据え、全員参加型DXへのシフトを本格化させています。デジタルツールを使いこなすことが日常となるよう、心理的・技術的なハードルを下げる施策を展開。「DXは自分たちの仕事を変えるためのもの」という主役意識を醸成し、組織文化そのものをアップデートしています。

DXshimin.png 

2.3 社内を熱狂させた「生成AIコンテスト」の成功

「DXの市民化」の一環として、生成AIの利用普及を加速させるため、2025年9月に第1回「生成AIコンテスト」を開催しました。社内業務革新WGメンバーが運営を主導し、参加しやすい空気づくりと全員参加型の設計を行ったことで、従来の重厚な社内イベントとは一線を画す「カジュアルでワクワクする全員参加型イベント」として予想を大きく上回る成果が得られました。

項目 結果
応募件数 85件
投票数 349票
参加者満足度 100%

このコンテストにより、生成AIの活用が「日常」のものとして広まり、他者のアイデアに触れることで社内の知見が飛躍的に拡大しました。引き続き2026年も第2回を実施しており、さらなる生成AI利用の市民化を図っています。

2.4 社内業務革新WGによる「DXアンバサダー」の育成

このように、「社内業務革新WG」は社内DX推進の中核を担っています。WGでは主に生成AIを活用した身近な業務の改善や、社内普及活動を推進していますが、 特筆すべきは、WGメンバーが自部署に戻り、DXの理解促進と実践の定着を推進する「DXアンバサダー」として活動している点です。
この活動を支援するため、各アンバサダーの部門内での孤立を防ぐためのスキルアップ支援やコミュニティ形成もセットで行うことで、全社的な波及効果を最大化しています。

3. 今後の展望:DXの深化と顧客への価値提供

これまでの活動を通じて醸成されつつある「DXの市民化」は、当社の持続的な成長基盤となりました。
今後は、この社内知見をさらに深化させ、お客様のDX支援へと還元していきます。

3.1 生成AIの多角的な活用とPAPPサーバーの導入

現在はMicrosoft Copilotに加え、機密情報の安全な取り扱いを両立させるため、オンプレミス環境で動作するAIソリューション「PAPPサーバー(エフサステクノロジー社製)」の導入・活用も進めています。これにより、社外に出せない機密データを用いた高度な分析や文書生成が可能となり、セキュリティと利便性を両立した次世代の業務革新を追求しています。

3.2 自社実践ノウハウを武器にした顧客支援

当社は経済産業省の「DX認定事業者」として、社内実践での成功と失敗から得た生成AI活用に関する知見を社内で蓄積・ナレッジ化し、お客様のご支援に活かすべく更なる社内実践の拡大に取組んでおります。PAPPの社内導入もその一環です。現在、社内のさまざまな業務分野での活用検証を実施・拡大しており、システム構築に係る実践的なナレッジを蓄積しております。今後これらを通じて、お客様と共に未来を創造するパートナーとしての役割を果たしてまいります。

4. まとめ

本記事では、当社が推進する「DXの市民化」の実践事例をご紹介しました。

DX推進室による体制構築、FSV2027との連動、生成AIの徹底活用、そしてアンバサダー育成。
これらはすべて、社員一人ひとりの意識を変え、企業としての価値創出力を高めるための取り組みです。

自社で培ったDXの実践知を磨き続けながら、ICTデザインパートナーとしてお客様の変革に伴走し、社会とお客様の価値創造に貢献してまいります。


著者情報

半田 智子

扶桑電通株式会社
執行役員 コーポレートイノベーション本部長兼DX推進室長

大手IT企業にてSEとしてキャリアをスタートし、外部団体への出向を機にコンサルタントへ転身。約16年間にわたり金融機関を中心に、システムリスク管理態勢の構築や業務改革を支援。その後はDXビジネス推進領域において、DX人材の定義や育成フレームワーク策定、研修企画などに取り組み、人材育成を牽引。

2024年より扶桑電通株式会社にてDX推進基盤の構築と組織変革をリードしている。

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